
2025年(令和7年)10月23日(木)~11月24日(月)、ウェブ形式のオンデマンド配信にて、「グッドプラクティスから臨床倫理をとらえ直す」をテーマに、2025年度看護に関する講演会を開催しました。
本講演の企画は引き続き、これまで当財団の公募事業の助成を受けた看護職の方々を中心に行っていただきました。
本講演会の企画意図は、次のとおりです。― 医療の高度化・高齢者の増加に伴い、看護師は医療方針決定や患者を尊重するケアにおいて倫理的な課題に直面することが多く、葛藤や苦悩を抱えている。また、2024年度の診療報酬改定では、入院料の通則に「人生の最終段階における意思決定支援」及び「身体的拘束の最小化の取り組み」が新たに要件として追加され、臨床倫理に関する医療者の関心が高まっている。そこで本講演会では、臨床倫理に携わる専門家を招き、日常的に起こり得る倫理的課題への取り組みや組織的介入に関するグッドプラクティスを学び、倫理的な実践を大切にする組織の風土・文化をつくるためのヒントを得る機会としたい ―
本講演では、まず財団についてご紹介した後、講演1は、医療倫理学の専門家である宮崎大学医学部教授の板井孝壱郎氏に、臨床倫理の基本的な考え方や組織的なアプローチについて語っていただきました。講演2は、社会医療法人近森会理事・統括看護部長の岡本充子氏から、臨床倫理に関する組織的活動及び臨床倫理における課題への具体的な取り組みについてお話しいただきました。講演3は、前石川県看護協会会長の小藤幹恵氏に、どのようにして臨床倫理を中心に据えた看護実践を根付かせてきたのかを具体的事例に基づきお話いただいております。座談会では、板井先生に座長をお願いし、3名のご講演者のご見識とご経験に基づく臨床倫理のとらえ直し方について貴重なご議論をいただきました。
また本年も本財団と長年交流のあるメイヨークリニック(米国ミネソタ州)より、同クリニックの臨床倫理相談サービスの活動の実際についてお話しいただいております。
ウェブ講演会は今回開催4回目となり1,373名という大変多くの方にご視聴いただきました。
講演後に皆様からいただいたアンケートでは、「倫理的ジレンマに直面した時に相談できる臨床倫理部の必要性を再確認できた」、「ケアの質と倫理のつながりについて、とても分かりやすく、日常的なケアを通して倫理的感性を高めるための取り組みへの示唆が得られた」、「できないではなく、どうすればできるかを問いかけ、ともに考えることの流れの中に倫理の視点があり、ハッとさせられた」、「看護でなく業務になってしまう葛藤はずっと抱えてきたので、正直な座談会に励まされた」などのご感想が寄せられました。また、メイヨークリニックの講演について、「日本と違い臨床倫理コンサルテーションチームが専属であり、患者にも開かれていること、論理的に臨床倫理について考えていることなどを知ることができた」、「海外での実際の取り組みを知ることにより、前半の講演での学びが深まったように思う」というご意見もいただきました。これらのご意見を今後の講演会等の企画に活かしてまいります。
講演1 『グッドプラクティスから臨床倫理をとらえ直す−組織的視点から−』 (要旨)
宮崎大学 医学部医学科 社会医学講座生命・医療倫理学分野 教授
宮崎大学医学部附属病院 病院長補佐
中央診療部門 臨床倫理部 部長
板井 孝壱郎 氏
講演2 『グッドプラクティスから臨床倫理をとらえ直す−看護管理者、実践家の視点から−』 (要旨)
社会医療法人近森会 理事・統括看護部長
老人看護専門看護師
岡本 充子 氏
講演3 『グッドプラクティスから臨床倫理をとらえ直す−看護管理者視点から−』 (要旨)
前 公益社団法人石川県看護協会 会長
元 国立大学法人金沢大学附属病院 副病院長・看護部長
小藤 幹恵 氏
座談会 『グッドプラクティスから臨床倫理をとらえ直す』
板井 孝壱郎 氏(座長)
岡本 充子 氏
小藤 幹恵 氏
メイヨークリニック講演
『Mayo Clinic Clinical Ethics Consultation Service』 (abstract)
メイヨークリニックにおける臨床倫理相談サービス
Ms. Ellen J. Case
M.S.W., Clinical Ethics Program Manager
Ms. Kari L. Cambern
M.S.N., M.H.A., R.N., N.E.A.-B.C., Nurse Administrator